日常茶飯事の記録です。

まんまのまんま Vol.114

11/1より[幻魔大戦]を読む

 俺がこの小説を知ったのが小学生の頃でクラスメートが読んでたんを憶えてる。本が世に出てから丁度半世紀になる。いつか一度は読んでみたいと考えてたけど、この歳になってやっとその気になりヤフオクで全巻揃いを500円でゲットした。執筆は平井和正で周知の通り日本を代表するSF作家、今じゃこの本は書店でも売ってへんのとちゃう。廃版になった訳やなかろうが作者が故人になったんも一因で、流行からは程遠く旬が過ぎて増刷しても売れまいて。然しファンは今でも根強く彼等をヒライストと呼んどる。

 この本を読みたなった理由に3年前ぐらいから思いついたことがあって、それが実行可能か否かを定めるには先ず読んでみぃひんと分からへん。何せ50年前に書き下ろされた小説やさかい現在とは全く時代がちゃう。そう…時代考証の設定が難しいと思うわ。俺は一体何をすんのか?…と言うと、原作を脚本にしてみたい衝動に駆られたんよね。飽くまでも私感によるもんやけど極力オリジナルを尊重して歪曲せずに書きたいねん。

 さて11/1から読書をスタートしたが、乗っけから頭打ちになってしもてん。なるほど小説の世界ではどないに書いても成り立つが、現実を当て嵌めると余りにも矛盾が多いので、それを表現するには斬新な脚色をしやんと無理がある。34年前アニメ『幻魔大戦』が映画になったけど、作品がオーバーラップして脚色の意図がはっきり分かった。こりゃ相当苦労すると想像できたし原作通りは不可能と思た。なんぼ架空とは云え出鱈目を脚本には出来んし、無茶を通すならそれなりの理由付けと道理に合う説得が要る。

 でも幻魔大戦は非常に面白ぅてドンドンとストーリーの中へ引きずられてしまう。俺は読んだシーンを空想する癖があんので、物語の臨場感が頭の中でグツグツと煮え滾って、脳が完全にストーリーで支配され小説の一桁先にワクワクする自分が居る。こない貪るように読む小説は栗本薫の『グインサーガ』以来の30年振りで、心身共に陶酔してまう作品に出会えて嬉しい限り。この先ストーリーが如何に進むんか楽しみでもある。